こんにちは、信託コンサルタンタントの宿輪です。
民事信託(家族信託)は、制度ができてから10年以上経ちますが、実際に使われ出したのは最近の事で、身近で実例を見た方は少ないと思います。
この「信託情報」では、皆様の信託に対する疑問をランダムに取り上げ解説しています。
【本日の話題】
家族信託をスタートする場合、金銭については信託用の口座で管理します。委託者の口座を信託するためには、一旦解約して信託用の口座を開設するのです。
信託用の口座は、「委託者○○○○ 受託者□□□□ 信託口」とするのが本来です。しかし現実は・・・
実際には、上記のような信託口口座を作ってくれる金融機関は、今のところ少数派です。
郵便局は対応していませんし、地方銀行も「できません」というところが多いです。
信託法では、委託者のままの口座で信託金銭を管理することはできませんので、信託口ができない場合は、受託者個人の名義の口座を作り、そこで受託者の財産とは分けて管理することになります。
信託の契約書に”△△△銀行××支店の受託者名義の口座”が信託専用の口座である旨を記載すれば、税務上は認められるので贈与税などは発生しません。
しかし、受託者の債権者(お金を貸した人等)から見れば、受託者の財産と見分けがつかないわけですから、受託者の財産として差し押さえられる可能性もあります。
なにより、委託者(受益者)からすれば自分のお金なのに、受託者のお金のような口座に入れてしまうことはいい気分ではありません。
民事信託(家族信託)が、一般に認知され需要が増えれば、金融機関も対応せざるを得ないことになると思うのですが・・・もう少し先になりそうです。
不動産に関しては、法務局で信託の登記ができますので金銭のような不具合はありません。受託者の債権者が見ても信託財産であり、受託者の財産でないことが明らかですので、当然差し押えになることはありません。