こんにちは、信託コンサルタンタントの宿輪です。
民事信託(家族信託)は、制度ができてから10年以上経ちますが、実際に使われ出したのは最近の事で、身近で実例を見た方は少ないと思います。
この「信託情報」では、皆様の信託に対する疑問をランダムに取り上げ解説しています。
【本日の話題】
実家でひとり暮らしの親が、施設に入所することになった場合、実家を売却して費用を捻出したい。
しかし、所有者(親)が認知症になってしまうと売却は難しくなってしまいます。
実家を民事信託(家族信託)の信託財産とすることで、いざというときには、受託者(子)の判断で売却等が可能となります。
・二郎さん(45歳)のフネさん(79歳)は、秋田県の実家に一人暮らしです。
・一人息子の二郎さんは、東京に住んでいます。
・二郎さんは、フネさんをそろそろ介護施設に転居させたいと考えています。施設の入居費用やその後の介護費用に充てるため、実家を売却したいと考えていますが、すぐには売却できそうにありません。
・売却前にフネさんが認知症になると、売却が困難になってしまいます。
実家を信託する
フネさんを委託者兼当初受益者、次郎さんを受託者とし、実家不動産と若干の金銭をを信託財産として信託契約を締結する。
フネさん死亡後の二次受益者を二郎さんとする。
信託の効果
フネさんが認知症になっても、二郎さんの判断で実家を売却し、売却代金をフネさんの施設費用、介護費用、生活費などに活用できる。
売却の際は、譲渡所得はフネさんのものである為、居住用不動産の売却として財務に関し特例を適用できる。
売却前にフネさんが死亡し、受益権が二郎さんに発生した場合、相続として相続税が計算されるので、小規模宅地の特例等が適用される。
相続の手続き不要で、受益権が移動となる。