こんにちは、信託コンサルタンタントの宿輪です。
民事信託(家族信託)は、制度ができてから10年以上経ちますが、実際に使われ出したのは最近の事で、身近で実例を見た方は少ないと思います。
この「信託情報」では、皆様の信託に対する疑問をランダムに取り上げ解説しています。
【本日の話題】
田舎に暮らしており、自分の死後の墓地の管理や法要、永代供養を子に任せられない方も多いと思います。
お寺や葬儀社に、生前に費用を納めおまかせするという手もありますが、他人任せというのには抵抗があります。
近くに信頼できる知人や親戚がいる場合、その方に信託して永代供養を託してはいかがですか。
・山田さんは、近くのお寺に先祖代々のお墓があり、お墓参りや先祖供養を欠かさず続けています。
・山田さんには、法定相続人として長男がいますが、信仰する宗教が違うため、自分の祖先の供養等をしてもらえないと思われます。
・山田さんには信仰仲間でもある鈴木さんを信頼しており、自分の死後の葬儀や墓地の管理、永代供養等を任せたいと考えています。
・永代供養にかかる費用以外は、長男に相続させたい。
永代供養にかかる費用を信託する
委託者兼当初受益者:山田さん
受託者:鈴木さん
二次受益者:長男、鈴木さん
信託財産:金1,000万円
受託者は、永代供養にかかる費用を信託金銭から支出する。
永代供養の期間を信託の期間として信託契約を締結する。
信託の効果
鈴木さんやお寺が直接金銭を取得するのではなく、永代供養に必要な費用がその都度支出される。
鈴木さんは、信託期間が終了した際に残余財産を受け取ることができる。
山田さんは信託により、信頼できる人に永代供養をおまかせできる。
長男も、宗教上できない親の供養が問題なく執り行われることを、受益者として確認することができ、信託財産以外を相続できる。