こんにちは、信託コンサルタンタントの宿輪です。
民事信託(家族信託)は、制度ができてから10年以上経ちますが、実際に使われ出したのは最近の事で、身近で実例を見た方は少ないと思います。
この「信託情報」では、皆様の信託に対する疑問をランダムに取り上げ解説しています。
【本日の話題】
家族信託の主要登場人物は、委託者・受託者・受益者の3人です。受託者が信頼されていて、信託財産の管理に心配のない場合は、これだけで成り立ちます。
しかし、受託者の仕事ぶりを監視したり、アドバイスする人が必要な場合に「信託監督人」の出番となります。
家族信託は、家族の信頼関係のうえに成り立ちます。受託者としては、やるからには全部自分で判断できるように任せてもらう方が、気持ちよくできるでしょう。ですから、信託行為に心配がなければ、監督人は不要であると思います。でも、必要な場合もあります。
【信託監督人の役割】
信託監督人は、受託者の対する監視人であり監督者です。
家族信託は、委託者,受託者,受益者の全員が法律知識の少ない一般人です。例え悪意がなくとも、受託者の業務が問題が無いかなど心配になる場合もあるでしょう。また、信託財産に収益不動産がある場合などは、不動産や法律の知識を持つ人にアドバイスをもらいたいということもあるでしょう。
受託者の不正の監視ということではなく、資産運用の手助けのために信託監督人を置くのはありだと思います。
受託者の不正を疑うほど信頼していないようでは、信じて託す「信託」は成り立ちません。
信託監督人の役割は、受益者保護のために受託者を監督する信託関係人で、信託に必要な権利や信託財産の保全に必要な権利の行使の権限を持ちます。
【信託監督人にはだれがなる?】
信託監督人は、通常は契約書において指定します。
また、受益者が受託者の監督をできない特別の事情があり、信託契約書に信託監督人の指定が無い場合には、利害関係人の申立てにより裁判所が信託監督人を選任することができるとなっています。
信託監督人は、第三者的立場で受益者を保護し受託者を監督する役割ですから、受託者に者が言える人でなくてはなりません。親族の中から信託監督人を選ぶ場合は、この点が重要です。
さらに、信託監督人は受託者の信託財産管理をチェックしアドバイスできなければなりません。つまり、信託制度をよく理解していないと役目を果たすことはできません。
信託監督人は、成年被後見人であるなどの不適格事由が無ければなれることにはなっていますが、その任務を考えるに、信託制度に精通した専門家になってもらうのが最適ではないかと思います。
専門家を信託監督人にすると報酬が発生しまいますが、受益者や信託財産を守るために必要という場合には設定した方がよいでしょう。