こんにちは、「民事信託・相続コンサルタントしゅくわ事務所」
代表の宿輪です。
弊所は、開業以来相続専門の事務所としてたくさんの相談者の方からお話を聞いてきました。相続は、すべての人が当事者となる法律行為ですが、その内容を知る人は少ないのが現実です。知らないがゆえに、相続時にトラブルとなり、最悪の場合は親族間に遺恨を残す「争族」となってしまいます。
少しの知識があれば、トラブル発生となる前に対策が可能となります。「信託情報」では、皆さんに知っていただきたい信託の知識をランダムに解説しています。ぜひお役に立ててください。
弊所では、民事信託(家族信託)を専門的に取り扱っています。遺言などこれまでの民法では解決できなかった問題がクリアにできます。☞に小冊子ダウンロード版を用意していますのでご利用ください。
民事信託を勧める理由を、スライドを使って説明してみました。☞のユーチューブ動画も見ていただけると嬉しいです。
では、信託情報をどうぞ!
子どもは独立して、自宅は夫婦二人暮らしという方は多いでしょう。
退職金でローンを完済し、抵当権が外れ完全に自分のものになりました。財産と言えるものは、この自宅以外にはあまりありません。
でも、完全に自分のものです。済まなくなったときには、これを売ればなんとかなるはず・・・・
ほんとに何とかなるのでしょうか。
自宅の所有者のお父さんはお母さんと二人暮らしです。子供は独立して都会で暮らしており、自宅に戻ることはないようです。夫婦も、子どもの世話になることを希望していません。介護等が必要になったら、自宅を売って費用を捻出して施設に入居する予定でした。
その後、お父さんは認知症になってしまいました。お母さんが自宅で介護していましたが、高齢となり自宅介護が困難となったため、施設に入居することを検討しています。
しかし、自宅が売れない!
自宅を売るためには、所有者であるお父さんが売買契約をしなければなりません。
でも、認知症が進んだお父さんには、契約を締結するための意思能力が無いのです。元気なときに「施設に入るときに売る。」と希望していても、契約時点での意思確認ができないのでダメです。
【成年後見しかない】
既に認知症になってしまった人の財産を代理して管理処分できるのは、成年後見人です。家庭裁判所に申し立てて、後見人を選定してもらいます。
但し、成年後見人を付けても、自宅の処分は家庭裁判所の許可が必要です。どうしても自宅を売却しなければならない事情があると認めてもらわなければ売却できません。
自宅売却のために後見人を付けても、裁判所が不許可とすれば売却することができません。そして、後見人は被後見人(お父さん)が亡くなるまで財産管理を継続します。途中で止めることはできません。
自宅は、空き家となりお父さんの相続のときまで、維持管理にお金を掛け続けることになります。お父さんの相続時にお母さんが認知症になっている場合には、遺産分割協議ができないため、お母さんの相続のときまで
空き家状態が続きます。
【子供のハンコで売却できる家族信託】
上記のような状況を回避するため、自宅を信託財産として家族信託を元気なうちに締結しておきましょう。
委託者:お父さん
受託者:子供
受益者:お父さん、お母さん
これにより、万一お父さんが認知症になっても自宅の売却に支障は出ません。受託者である子供のハンコで売買契約ができます。売却により取得した金銭は、受益者のために使うことになります。施設の入居に必要であれば、これから支払うことができます。
子どもに「いざとなったらこの家を売っていいからね。」と言うだけでは、実現できないことを知っておいてください。