こんにちは、「民事信託・相続コンサルタントしゅくわ事務所」
代表の宿輪です。
弊所は、開業以来相続専門の事務所としてたくさんの相談者の方からお話を聞いてきました。相続は、すべての人が当事者となる法律行為ですが、その内容を知る人は少ないのが現実です。知らないがゆえに、相続時にトラブルとなり、最悪の場合は親族間に遺恨を残す「争族」となってしまいます。
少しの知識があれば、トラブル発生となる前に対策が可能となります。「信託情報」では、皆さんに知っていただきたい信託の知識をランダムに解説しています。ぜひお役に立ててください。
弊所では、民事信託(家族信託)も積極的に取り扱っています。遺言などこれまでの民法では解決できなかった問題がクリアにできます。☞に小冊子ダウンロード版を用意していますのでご利用ください。
民事信託を勧める理由を、スライドを使って説明してみました。☞のユーチューブ動画も見ていただけると嬉しいです。
では、信託情報をどうぞ!
今、日本の社長の平均年齢は59.7歳(帝国データバンク2019年データ)になっています。そして、社長が60歳代の企業のうち約3割は後継者が決まっていません。(中小企業庁のアンケートより)近年では、後継者不在による倒産が大きな問題になっています。
後継者不在による倒産の原因の一つが、事業承継にかかる税金にあります。
社長が元気なうちに、事業承継をすれば後継者を教育・バックアップできますが、相続により事業承継をするとなるとそれができません。
しかし、元気なうちに承継すると多額の贈与税が発生するため、税金で経営が傾いてしまうのです。
相続の場合、3000万円+600万円×法定相続人数を超えた財産額に対して相続税がかかります。例えば5000万円の遺産があっても、相続人が4人いる場合には相続税は非課税です。
贈与の場合は、年間110万円を超す財産を移動すると贈与税がかかります。
さらに、贈与税率は相続税率より効率ですので、生前贈与が難しいのです。中小企業の社長の財産である自社株は、税制上の評価額はありますが実際に売れるようなものではなく、税金を払うだけの現金を用意しなければなりません。
【信託で経営権を移す】
そこで民事信託(家族信託)の登場です。
そろそろ、後継者に経営権を譲りたい社長が、自社株を信託財産として民事信託を組成します。
委託者兼受益者 社長
受託者 後継者
後継者に、信託財産となった自社株の議決権を移動します。最初からすべて任せるのが心配であれば、委託者に指図権を設定し、重要議案の議決に関して指示できるようにしておきます。
信託を設定した後は、後継者が実質的に経営者として会社が運営されます。
社長が認知症になっても、経営には影響はありません。
死亡した場合も、相続手続きは不要です。社長死亡により、信託を終了し後継者が自社株の所有者となることができます。
【課税はどうなる】
信託設定時には、委託者=受益者 ですので、課税はありません。
社長死亡時に、社長から後継者に自社株の相続があったものとして相続税が課税されます。
例)自社株評価額5000万円(法定相続人4人)の場合
社長から40歳の子へ生前贈与➤2049万5000円(特例税率)
社長死亡により子へ信託残余財産として移動➤0円(相続税の基礎控除額以下のため)
【信託ならお試しもできる】
元気なうちに民事信託で経営を委譲すると、税金の心配・認知症の心配がなくなり、会社経営の安定に繋がります。
しかも、万一後継者にした子が経営者に向かなかった場合には、やり直しもできます。
長男にやらしてみたけど上手くないとき、信託を終了させ又は受託者を変更して長女に経営させるということもできるのです。
生前贈与で同じことをすると、長男への自社株贈与で贈与税が発生し、長女に移すときに再度贈与税がかかってしまいます。贈与税2回分4099万円の贈与税を現金で支払うことになります。自社株評価額5000万円の会社で4099万円の贈与税を払ったら、倒産する可能性が非常に高くなります。民事信託なら、非課税でこれが可能なのです。
社会状況は常に変わります。経営を続けるためには、常に変化に対応できる体制としておかなければなりません。
民事信託(家族信託)を活用して、社長が元気なうちに事業承継を進めることが中小企業の生き残る道です。