こんにちは、「民事信託・相続コンサルタントしゅくわ事務所」
代表の宿輪です。
弊所は、開業以来相続専門の事務所としてたくさんの相談者の方からお話を聞いてきました。相続は、すべての人が当事者となる法律行為ですが、その内容を知る人は少ないのが現実です。知らないがゆえに、相続時にトラブルとなり、最悪の場合は親族間に遺恨を残す「争族」となってしまいます。
少しの知識があれば、トラブル発生となる前に対策が可能となります。「信託情報」では、皆さんに知っていただきたい信託の知識をランダムに解説しています。ぜひお役に立ててください。
弊所では、民事信託(家族信託)も積極的に取り扱っています。遺言などこれまでの民法では解決できなかった問題がクリアにできます。☞に小冊子ダウンロード版を用意していますのでご利用ください。
民事信託を勧める理由を、スライドを使って説明してみました。☞のユーチューブ動画も見ていただけると嬉しいです。
では、信託情報をどうぞ!
民事信託(家族信託)の変更
当事者や家族としっかりと話し合い、これなら大丈夫と考えて民事信託(家族信託)をスタートしました。
しばらくして、組成当時にはなかった状況が発生し、契約内容を変更したくなることがあります。法律の変更もあるでしょうし、家族内のトラブルもあります。人間ですから、考えが変わることだってあります。
信託財産は、元々は委託者のものでしたが、信託財産とした時点で、所有者のない財産となっています。そして、受託者・受益者の権限も絡みますので、変更については信託法できちんと規定されています。
弊所の取扱いでも、組成時は「相続税対策なんかしたくない」と言う委託者の意向に沿って組成した信託が、「節税できるものならしたい」と考えが変わったことがありました。
委託者以外は、当初より節税対策もしたい意向でしたので、節税対策を信託行為に追加する変更をお手伝いしたことがあります。
【信託の変更方法】
①委託者・受託者・受益者の合意により変更できる。
民事信託(家族信託)の当事者全員が合意すれば、信託目的の変更なども変更もできます。
②信託の目的に反しないことが明らかであるとき、受託者と受益者の合意により変更できます。元々、委託者の希望を叶えるために組成する信託ですので、委託者の合意が得られない場合には、信託目的は変更できません。
委託者が認知症などで、意思表示でき亡くなった後は、信託目的の範囲内での変更のみ可能となります。
③信託の目的に反しないこと及び受益者の利益に適合することが明らかであるとき、受託者の意思表示で変更できる。
信託の真の権利者である受益者の合意が得られない場合には、受益者の利益を守るための変更が受託者の判断で可能です。委託者と受益者が同じ「受益信託」で委託者兼受益者が認知症などで意思表示できなくなると、変更のハードルは相当高いものになります。
④受託者の利益を害しないことが明らかであるとき、委託者と受益者から受託者への意思表示により変更できる。
委託者と受益者の合意があれば信託の終了もできますので、受託者に不利益があり受託者が承諾しない(変更するなら受託者をしない)と言う場合は、終了して新しい信託を組成することになるでしょう。
⑤信託の目的に反しないこと及び受託者の利益を害しないことが明らかであるとき、受益者から受託者への意思表示により変更できる。
委託者が認知症などで意思表示ができない場合には、信託の目的は変更できません。
⑥別段の定めがあれば、それにより変更できる。
信託の変更方法を、組成の段階で委託者と受託者で決めておくことができます。
委託者・受託者・受益者の合意があれば、変更してもトラブルとなることは少ないと思います。しかし②~⑤の場合には、「明らかである場合」と言う主観が入りますので、トラブルに繋がる懸念があります。別段の定めをして、将来の変更に備えることも大切です。