会社貸付を信託して、会社を守る。


こんにちは、「民事信託・相続コンサルタントしゅくわ事務所」

代表の宿輪です。

 

弊所は、開業以来相続専門の事務所としてたくさんの相談者の方からお話を聞いてきました。相続は、すべての人が当事者となる法律行為ですが、その内容を知る人は少ないのが現実です。知らないがゆえに、相続時にトラブルとなり、最悪の場合は親族間に遺恨を残す「争族」となってしまいます。

 

少しの知識があれば、トラブル発生となる前に対策が可能となります。「信託情報」では、皆さんに知っていただきたい信託の知識をランダムに解説しています。ぜひお役に立ててください。

 

弊所では、民事信託(家族信託)も積極的に取り扱っています。遺言などこれまでの民法では解決できなかった問題がクリアにできます。☞に小冊子ダウンロード版を用意していますのでご利用ください。

 

民事信託を勧める理由を、スライドを使って説明してみました。☞のユーチューブ動画も見ていただけると嬉しいです。

 

では、信託情報をどうぞ!

 


自社株以外の信託財産


中小企業の場合、会社の資金繰りが悪いとき、社長個人から借入をしていることが良くあります。

 

社長が元気なうちは、返済をしなくても何ら問題にはなりませんが、社長が亡くなったときには、相続財産として分割することになります。

 

会社資金に余裕が無いと、経営が困難になることも・・・


争族は、遺産分割協議により発生するのが大半です。

 

遺言や民事信託で協議不要とすれば争族は回避できる可能性が高くなります。

 

遺言で、遺産の取得者を指定した場合には、取得者は所有者となります。債権を取得した相続人は、債権を行使(返還を請求)することになります。そうしなければ、所有者となった意味がありません。

 

しかしそれをされると、会社が苦しくなってしまいます。

 

【会社の借金は相続財産】

社長の会社に対する貸付金(=会社の社長に対する借金)は、社長の債権です。

銀行に預けているお金と同じ債権なのです。

 

ですから、債権の所有者が死亡したときには、相続財産となります。

 

株式を上場していない中小企業の場合、自社株は後継者が引き継ぐことになります。他の相続人には、自社株以外の財産を取得させることになります。

 

預貯金などが潤沢にあれば問題ありませんが、そうでない場合、債権を取得した相続人から返還を請求されると、会社の経営に支障が出ることも考えられます。

会社の経営に関係しない相続人にとってみれば、早く現金化したいのは当然です。

返済期限なども決めずに貸付していることが多いので、いつまでもほっておくわけにはいけません。

 

【民事信託を活用】

 

 

社長が元気なうちに自社株を信託して、後継者を受託者に指定するのがいわゆる「事業承継信託」です。生前贈与に近い経営権の委譲をしつつ、受益権は社長の死亡により移動することで、贈与税より低率の相続税の課税で自社株が譲渡できます。

 

この信託と同時に、又は、遺言信託により会社に対する債権を信託財産とします。

 

信託財産は、委託者の固有財産ではなくなりますので相続財産とはなりません。

信託行為により管理・処分されますが、信託財産も遺留分の対象にはなりますので、自社株を取得した後継者以外には遺留分に当たる金額は取得させないと争族を招くことになります。

 

そこで、①会社経営に支障が出ないように、②後継者以外の相続人が遺留分侵害額請求の訴えをしないように、信託契約で給付方法を明確にするのです。

 

民事信託により、争族の回避と会社の安定経営が両立できます。